citroenxさんのブログ
襤褸と宝石

昔のドラマは、特にNHKは素晴らしい作品が多かったように思います。

映画のように、味わい深い秀作を次々と生み出していたように感じますね。。

特に、襤褸と宝石は未だにシーンが浮かび上がるように、忘れがたいドラマでした。

映画で同名の作品がありますが、全く無関係となります。

パリで客死した天才画家佐伯祐三と妻の米子の半生を描かれた作品です。

佐伯祐三役に根津甚八、妻の米子の役に三田佳子、キャスティングも秀逸でした。

中島丈博の脚本が素晴らしく、NHKドラマの黄金期だったなと思い出しますね。

佐伯米子さんについては、夫の作品に手を加えたであるとか、夫の死の真相に関しての噂、

荻須画伯との不倫、夫と薩摩千代との不倫、様々な憶測がささやかれていたようですが、ドラマの終盤での忘れがたいシーンがありました。

佐伯の事を詰問する若い男に対して、米子が「あの人が死んだ時に私も死んだの」

これが全てを物語っているように感じられました。

記憶がうろ覚えですが、佐伯がゴッホのアトリエでゴッホの幽霊に出会う夢を見たとか、非常に印象深いエピソードを交え、物語は進んでいくわけですが。。

足が悪いながらも夫を支え、パリで娘と夫を失い、一人に帰国せざるえなかった米子さんの運命には、感慨深い思いが募ります。

芸術家というのは、孤独で純粋な魂を芸術で昇華することが宿命ですが、その周りにいる人間たちも、影響下におかれる羽目になります。

佐伯祐三は知らぬ人がいない天才画家であり、死して尚、作品で人々を感動させる事ができましたが、

その家族は彼の陰に隠れ、過酷な宿命と共に戦っていたのだとつくづく考えさせられました。

最近のドラマは、時代のせいなのか、非常に薄く、重厚感を感じられません。

脚本家も役者も若い世代、仕方ない事かもしれません。