80年代のロバートレッドフォードの最初の監督作品。

表題そのもの、普通の人々「Ordinary People」

一見、何不自由ない弁護士一家の家庭の普通ではない情景を心理学を交え、描ききっている。

家族とは遠慮もなく、嘘もなく、腹を割って話せる相手であるべきなのに、皆が心の闇を抱え、精神科医にカウンセリングを受けている。

不慮の事故で兄を失ったコンラッドは悪夢にうなされる。優秀な兄を溺愛していた母ベスは、空虚な心を抱え、弟のコンラッドとは距離を置いていた。

父のカルヴィンはその光景に胸を痛めていたが、傷ついた妻に諭す事さえ躊躇いがちだ。

コンラッドは、兄を失ったショックから自殺を図って入院するが、ベスは見舞いにも来ない。

傷心のコンラッドは、学校に戻り聖歌隊に入り、普通の生活を努力してみるが・・思うようにいかない。

たまたま精神病院で知り合ったカレンという少女とつかの間の恋をする。

しかし、クリスマスの休暇にお祝いの電話をした時に、彼女が自殺をした事を知らされ、愕然とする。

絶望を感じたコンラッドは、精神科医にカウンセリングを受けて、兄の死に罪の意識を感じていることを解放しようと説得される。

両親の前に現れたコンラッドは母親の愛を確かめたくなり、ベスにキスを求めるが、受け止めようともされない。

夜中に目が覚めたベスは、夫が一人でないているのを見る。

彼は妻に初めて君への愛があるのかわからないと本心を告げた。明け方、彼女は家を出て行く。庭で1人立ちつくすカルヴィンのもとにコンラッドが近づき、2人は無言のままいつまでも抱きあうのだった。

というストーリー。

印象的な言葉のやりとり

「感情は苦痛を伴う。苦痛を感じない者は不感症だ。分るか?今、生きていることを感じ取れ」
「辛いだけだ」とコンラッド
「いや、快い」とバーガー
「なぜ分る?」とコンラッド
「友人だから」とバーガー
「あなただけが頼りだ」

精神科医とコンラッドの会話の一部だが、コンラッドの家庭が崩壊し、家族が家族として機能してないが故に、精神科医を頼ろうとする。

感情は苦痛を伴う、まさに言葉のとおり、生きているから辛さや孤独を感じるのが人間だから。

コンラッドは事故によるPTSDと、自分のせいで兄が亡くなったのではないかと自分を苛む。

その上、兄を溺愛していた母には残酷なぐらい、コンラッドに無関心な事を自覚させられる。

兄が居なくなった事で、全てのバランスが崩れ去り、とめどなく崩壊していく。

自らの心を隠さなければ、家族とはいえ存続は難しいという事だろうか?

アートを巡る旅