夜のハリウッドのマルホランドドライブで自動車事故が起こる。一人生き延びた黒髪の女性は、助けを求めにハリウッドまでたどり着く。女性が偶然潜り込んだ家は、有名な女優ルースの家だった。ルースの姪である女優志望のベティに見つかった黒髪の女性は、部屋に貼られていた女優リタのポスターを見て、反射的に「リタ」と名乗った。彼女はベティに自分が事故で記憶喪失になっていると打ち明ける。リタのバッグには大金と青い鍵。ベティはリタの失った記憶を取り戻すことに協力する。

というストーリーである。

リンチらしいと霊障的な現象がミステリアスに展開する。ハリウッドに住む悪霊(スターになるのを切望し叶わなかった亡霊)や、女優を夢見る女達の執念や欲望、現実と妄想が交錯していく。

夢の中で起こったこと、妄想、幻想と現実の境を女優たちが演じる。

映画と言うもの自体が、いってみれば絵空事でもあり、現実であるのか単なる妄想なのか境がつかない。

誰かの想念に引きずられ、思っても見ない言動をしてしまう。

もしくは、何かの存在に操られたかのように・・・

リンチはそういう目に見えない悪意や怨念や情念を漂わせるのを得意としているように感じた。

衝撃的なデビュー作、イライザーヘッドにはじまり、エレファントマン、ブルーベルベット、ツインピークス等、テーマは近親相姦、フリークス、闇の権力であったり、呪いのような悪夢を見ているような映画が多い・・・・

彼の映画を見ていると、夜中に鏡に映った背後の影の存在を具現化しているように感じる。

まさに、フランシス・ベーコンのファンだというのが、うなずける。

それも彼の個性だし、見ている側は、様々な解釈で映像にのめり込むだろう。

アートを巡る旅